2025年7月1日〜15日

【アートフェア】
今年のアート・バーゼルでは、出展アーティスト数が増加したにもかかわらず売上は減少となったようだ。ハウザー&ワース、ペース、タデウス・ロパック、ホワイトキューブ、そしてデイヴィッド・ツヴィルナーという5つの一流ギャラリーの公表売上高は2024年比で35%以上、2023年比で約8%、2022年比で20%強減少したことが明らかになった。過去最高売上は昨年で、5つのギャラリーの売上高は合計2億400万ドル(約300億6,000万円)だった(フィリップ・ガストン、ジョージア・オキーフ、アレクサンダー・カルダーなどの8桁の作品を販売したハウザー&ワースの売り上げが大きい)。-ARTnews

https://www.artnews.com/art-news/market/art-basel-2025-blue-chip-galleries-sales-trend-1234746767/


【中東】
アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ、サディヤット島に、今年12月新たな巨大博物館が開館予定だ。2フロアに渡って人類史30万年を網羅する6つの常設ギャラリーと企画展示ギャラリーが設置され、所蔵物の中には1000年以上前のコーランと世界最古の天然真珠も含まれるという。アブダビは2030年までに年間約4,000万人の観光客を誘致する計画で、この国立博物館は、ルーブル・アブダビ、チームラボ・フェノメナ・アブダビ、グッゲンハイム・アブダビ、そして近々開館するアブダビ自然史博物館などと並んで主要な文化施設に加わることになる。-ARTnews

https://www.artnews.com/art-news/news/uae-to-open-massive-museum-in-december-that-reflects-historical-trajectory-of-the-country-1234747253/


【ギャラリー】
コレクターのアダム・リンデマン氏が2012年に設立したニューヨークのギャラリー、ヴィーナス・オーバー・マンハッタンが、7月下旬に閉店する。リンデマン氏は販売活動から完全に撤退し、収集に専念する意向を表明した。この決断の要因として、アートフェアの巡回に伴う苦労と、ギャラリー業界における仲間意識の欠如を挙げているという。-ARTFORUM

https://www.artforum.com/news/venus-over-manhattan-closing-new-york-1234732987/


【大学】
ペンシルベニア州の大学、オルブライト大学が、500点以上の作品をオンラインオークションに出品する。オークションは7月16日に開催され、ブリジット・ライリー、ジャスパー・ジョーンズ、ロマーレ・ベアデン、ジェイコブ・ローレンスの作品に加え、書籍やポスターも含まれているという。大学は過去2年間で2,000万ドル(約29億5,000万円)の赤字を計上しており今回の出品は収支均衡を図るためと説明しているが、アートの寄付者らはこの動きに反対している。-ARTnews

https://www.artnews.com/art-news/news/albright-college-is-selling-its-art-collection-to-cut-20-m-deficit-but-donors-oppose-the-move-1234746861


【建築】
ニューヨーク近代美術館(MoMA)は、1972年から2022年まで東京・銀座で黒川紀章氏による画期的なプロジェクト、中銀カプセルタワービルの50周年を記念した展覧会を開催中だ。2026年7月12日までMoMA地上階ギャラリーで開催される「中銀カプセルタワービルの幾多の変遷」展では、カプセルタワーA1305と合わせて、建物の変遷と意外な用途を示す約45点の資料が展示されている。これらの資料には、唯一現存する模型、オリジナルの図面、写真、宣伝用の資料、アーカイブ映像と音声録音、元テナントへのインタビュー、そして建物全体を巡るインタラクティブなバーチャルツアーなどが含まれる。-artdaily

https://artdaily.cc/news/183671/MoMA-opens-an-exhibition-dedicated-to-the-50-year-lifespan-of-the-Nakagin-Capsule-Tower


【訴訟】
フィリップスは、コレクター兼映画プロデューサーで、砂糖ビジネス王ジャン=クロード・ミムラン氏の息子でもあるデビッド・ミムラン氏を提訴した。この法廷闘争は、昨秋フィリップスが開催した近現代美術展のイブニングセールで出品された8桁のジャクソン・ポロックの絵画に対する第三者保証(外部の出資者が特定のオークションロットのリスクを引き受ける仕組み)に端を発している。予想価格1300万ドル(約19億2,000万円)だった作品への入札がこの価格に達しなかったためミムランは事前に合意していた1450万ドル(約21億4,000万円)で購入するはずが、売却から120日以上が経過しても支払いが行われていないという。裁判所はミムラン氏に対し、絵画代金に加え、50万ドル弱の利息と弁護士費用を加えた総額14,957,448.38ドル(約22億円)の支払いを命じた。-artnet

https://news.artnet.com/art-world/phillips-david-mimran-15-million-pollock-guarantee-2667618


【オークションハウス】
フィリップスがロンドンでの展覧会で南アジア市場への進出を表明した。2フロアにわたる展示スペースには、S.H.ラザやF.N.ソウザといった有名アーティストの作品が、無名アーティストの作品と並んで展示されており、価格は5,000ポンド(約100万円)から、M.F.フセインの1950年代の油絵の150万ポンド(約3億円)まで様々だ。フィリップスはプレスリリースで、本展覧会は「バービカン・ギャラリーからロイヤル・アカデミー、サーペンタイン・ギャラリー、フリーズ・コーク・ストリートまで、ロンドン全域で今年南アジア美術に前例がないほどの注目が集まっている」と述べている。サザビーズとクリスティーズは20年以上にわたりこのカテゴリーに特化した部門を設け、NYで年2回オークションを開催しているが、これを機に追いつきたい狙いだ。-THE ART NEWSPAPER

https://www.theartnewspaper.com/2025/07/10/phillips-claims-stake-in-south-asian-market-with-london-group-show

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2025年6月16日〜30日